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朝食は電車の中⑧

2021年05月13日
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短編小説
蘭様はカバンの中から、カギを取り出した。

一本のカギ。

古いお屋敷とまるでつり合わない、新型のものにも見える。


ギィーーという扉の開く音がして、薄暗い玄関が広がり、電気もつけずに、男はそのまま二階へ連れていかれた。


「ん?なにか物音がする…」

男はその音のあるほうへ耳を傾けてみた。


蘭様「さぁ、こっちへ。」
そしていくつかの部屋のある、「T10」と書かれた部屋へと、案内された。


男「さっきのはなんだったんだろ…」と考えるまもなく男は振り向いた瞬間、



薬品のついたガーゼを顔に押し付けられ…
男はそのままゆっくりと脱力し、地面に倒れ込んだのだ。
























廊下に響く足音、
「コツ、   コツ、   コツ…」






男はその音に気がついたのか、
意識が朦朧とするなか、ゆっくりと起き上がると、あたりは薄暗くて、目が霞んではっきりしない景色だ。



男「う…、寒いよ。あれ、服がないのか…」








つづく






Shiori
Posted by Shiori

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